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考えてみましょう「デジタル資産」の取り扱い

2024.11.25

インターネット上で取引される「デジタル資産」が増えています。容易に取引ができる反面、アクセスするために必要な情報が本人しかわからず、相続などの場面でトラブルになることもありますので、注意が必要です。デジタル資産の取り扱いについて、一度考えておきましょう。

「デジタル資産」にはどんなものがある?よくあるトラブルと合わせて確認しよう!

経済・社会のデジタル化に伴い急速に増えているのが、「デジタル資産」です。スマートフォンやパソコン等に保存された写真・動画などのデジタルデータも「デジタル資産」に該当しますが、中でも注意して管理することが必要なのは、次のような、金銭的価値のある「デジタル資産」です。

「デジタル資産」に該当するものの一例
●ネット銀行・ネット証券口座の残高
●交通系電子マネー、○○ペイなどのキャッシュレス決済サービスの残高
●クレジットカードの利用で貯まるポイント
●サブスクリプションサービスの利用料金
●キャリア決済サービスの利用料金
●FX(外国為替証拠金取引)
●暗号資産など

デジタル資産は管理に必要な情報が運用者(本人)に集中しやすく、他人がその存在や内容を把握することは容易ではありません。特にネット証券口座やFX、暗号資産など、金額の大きいものは相続財産に該当するものも多いため、特に相続の際のトラブルが発生しやすくなっています。

デジタル資産をめぐるトラブル(一例)

トラブル1.存在を知らなかった

サブスクリプションサービス等の契約をしていることが本人しか知らなかったために家族等が解約の手続きをできず、利用料金が発生し続けてしまうことがあります。

トラブル2.アクセスできない

デジタル資産があることを家族等が把握していても、IDやパスワードが共有されていなければ、アクセスすることはできず、その後の手続きができません。

トラブル3.税金の申告漏れ等が発生することがある

特に、相続財産に該当するデジタル資産があった場合には注意が必要です。相続税の申告は、原則として相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。その期限を過ぎた後、新たなデジタル資産の存在が判明すると、遺産分割協議のやり直しや、修正申告が必要になることがあります。また、暗号資産取引は、相続以外でも申告漏れが指摘されやすい取引の1つです。国税庁が令和4事務年度に暗号資産等取引を行う個人に対して行った調査によれば、1件あたりの申告漏れ所得金額は3,077万円、追徴税額は1,036万円となっています。
暗号資産取引で得た利益は、原則「雑所得」として取引があった日の属する年分の収入となりますが、前記トラブル①②のようなことがあると、過少申告や申告漏れが生じやすくなってしまうことが考えられます。

今のうちからできる対策は?キーワードは「リスト化」と「共有」

デジタル資産をめぐっては、管理や運用に関する知識の差などから、特に相続発生後に家族等が損失を受ける可能性があります。そのため、デジタル資産の早期・適切な管理は、後々の家族等の負担を減らすだけでなく、トラブルに巻き込まれるリスクを減らすことにもつながります。今のうちから、次のような対策をとると良いでしょう。

対策1.デジタル資産の内容をリストアップする

所有しているデジタル資産をリストアップし、一目でわかるようにしておきましょう。作成したリストは、スマートフォンやパソコン等にデジタル形式で保存するよりも、紙に出力してファイリングするなど、アナログで管理するほうが、「アクセスできない」といったトラブルを防ぐことができます。

対策2.信頼できる存在に共有しておく

対策①で作成したデジタル資産のリストおよびファイル等は、その保管場所を、家族等の一部の信頼できる存在に共有しておくと良いでしょう。共有するリストには、資産の一覧に加え、ログインするために必要なIDやパスワードも一緒に書き留めておきましょう。また、パスワードを変更したら、その都度更新した情報に差し替えておきましょう。

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