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「お金がない!」にさよなら、「キャッシュ・フロー経営」で安心の経営を!

2024.03.18

資金繰りを安定させるポイントは、入ってくる資金を「多く」「早く」し、出ていく資金を「少なく」「遅く」する、「キャッシュ・フロー経営」の実践にあります。キャッシュ・フロー経営が定着すると、資金繰りが良くなり、安定した経営ができるようになります。

仕入れから販売・支払い・回収までのサイクルを確認しましょう

「キャッシュ・フロー経営」とは、「手元により多くのキャッシュ(現金・預金)を残す」ことを重視する経営をいいます。在庫や売掛金に資金が滞留することを最小限に留める努力や過大な借入返済による運転資金不足を解消するなどで、毎月の資金繰りが良くなり、財政状態が改善され、経営の安定化につながります。手元により多くのキャッシュを残すための鉄則は、入ってくる資金を「多く」「早く」することと、出ていく資金を「少なく」「遅く」することです。そこで、まず確認しておきたいのが、自社における仕入れから販売、支払い、回収までのサイクルです。図表の「買入債務回転期間」(支払基準)は商品を仕入れてその代金を支払うまでの期間を示します。「棚卸資産回転期間」「売上債権回転期間」の2つの合計は、原材料や商品を仕入れてから加工・販売し、代金を回収するまでの期間です。そして、「買入債務回転期間」と「棚卸資産回転期間+売上債権回転期間」の差が、運転資金の調達が必要な期間(必要運転資金回転期間)となります。この期間を確認し、短くすることで資金の心配が減り、安心の経営につながります。それぞれの期間は、次の計算式で求めることができます(計算式は「TKC経営指標ご利用の手引き」より)。

●棚卸資産回転期間(日)=棚卸資産÷純売上高×365
●売上債権回転期間(日)=売上債権÷純売上高×365
●買入債務(支払基準)回転期間(日)=買入債務÷仕入代金支払高×365
●必要運転資金回転期間(日)=(棚卸資産回転期間+売上債権回転期間)―買入債務回転期間

この中で、自社内の努力だけで回転期間を縮められるのは「棚卸資産回転期間」です。在庫管理を徹底し、短縮に努めましょう。次に、得意先から売掛金を回収してから買掛金の支払いができるよう、仕入先との取引の約定を見直しましょう。例えば得意先との約定が「月末締め切り・翌月末回収」の場合、仕入先との約定は「月末締め切り・翌々月10日の支払い」とできれば、回収先行の資金繰りが実現します。得意先ごとの売上債権回転期間の推移を確認することで、自社の資金繰りの改善につなげましょう。得意先からの締め切り日直後の納品依頼は、売上債権回転期間が1か月延びてしまうことを肝に銘じておきましょう。

今の借入金の返済条件は適切ですか?経営状況を踏まえた見直しも必要に

「手元に必要な運転資金を多く残す」ためには、借入金の返済を見直すことも重要です。特に近年では経済・社会環境の変化が著しく、借入をした当時と現在とでは経営状況が大きく異なるケースも出てきています。.資金繰りが厳しくなっているにもかかわらず、無理をして当初の約定通りに返済を続けた結果、キャッシュがショートして再融資を受けることになり、かえって月々の返済額が多くなってしまう一という事態になっては本末転倒です。もちろん、約定通りに借入金を返済することは重要です。しかし、自社の資金繰りが厳しいときには、金融機関に早めに相談して、現在の経営状況を踏まえた返済条件にしてもらうよう交渉することも必要になります。

キャッシュの回収は経営の腕の見せどころ!業界の慣例にとらわれない工夫を

業界の慣例にとらわれず、工夫を凝らして資金繰りの安定化や改善に取り組んでいる企業の事例をご紹介します。例えば、警備サービス会社のセコムでは、創業当時、苦戦したものの3か月分の警備料金を前納してもらう仕組みを貫き通し、サービス代金を先行して回収するサイクルが確立さ’れたことで十分な運転資金の確保につながりました。また、スーパーのコストコでは年会費を設定するという小売業界の慣例にはない発想で運転資金を確保し、資金繰りを安定させています。柔軟な発想でキャッシュ・フロー経営を目指しましょう。

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