2018.04.27
これまでに有給休暇(有休)に関する法改正が何度か行われていますが、今後さらに改正される可能性があります。
有休の法制度について経営者の素朴な疑問についてのQ&A。
有休は従業員が雇入れ日から6カ月以上継続して勤務し、その間の出勤率が8割以上あれば、最低10日の日数を与えなければならないとされています。以後は、1年ごとに有休付与日数が増えていきます。
Q1:従業員から有休の取得申請があれば、繁忙期や人手が足りないときでも、有休を与えなければならないのでしょうか?
A1:有休は、原則として、従業員から請求のあった時季に与えなければなりません。
「同じ時季に多くの従業員が休む。代替要員の配置が難しい」など、事業の正常な運営が妨げられる場合は、時季の変更を求めることができます。
ただし、単に「日常的に忙しい。人手が足りない」などの理由では、時季の変更を求めることはできません。慢性的な人手不足の会社では、従業員が有休をとれなくなってしまうためです。
Q2:業務や他の従業員との調整が必要なため、有休申請は事前にすることを義務付けています。それでよいでしょうか?
A2:有給取得の事前申請の期間が合理的であれば、問題ありません。
「合理的な期間」のとらえ方は、会社の規模や業種によって異なりますが、少人数の会社ほど、従業員1人当たりの負担・責任も大きいことから、事前申請の時季は比較的長くなることも想定されます。
Q3:未消化の有休を従業員から買取ってもよいのでしょうか?
A3:原則として、未消化分の有休を買い取ることは認められません。
有休は、従業員が休日以外の日に有休で休暇を取得することを労働基準法が定めた制度だからです。
Q4:有休を取得した従業員には、皆勤手当てを支払わなくてもよいのでしょうか?
A4:有休取得日以外の出勤日に出勤しているならば、原則として皆勤手当ては至急しなければなりません。
皆勤手当てや賞与の算定等に際して、有休取得日を欠勤や欠勤に準じた扱いにすることは、従業員への不利益な取扱いになります。
Q5:従業員の有休取得が少ないので、会社として、有休の取得を促進しようと思います。
良い方法はないでしょうか?
A5:有休のうち、5日を超える分については、あらかじめ有休の取得日を割り振る「計画的付与制度」があります。これを活用してはどうでしょう
計画的付与制度の導入にあたっては、就業規則への規定と労使協定の締結が必要になります。
なお、労使協定は、労働基準監督署へ届け出る必要はありません。
経営者としては、有休の取得が増えると、その分、業務量が減って、生産性が低下し、売上が下がるのではないか、という心配があると思います。
しかし、そうならないように、業務改善を進めて、有休取得率を大幅に増加させたところ、離職率が下がり、業績もアップした企業の例もあります。
残業削減を含めて、業務の効率化を図り、従業員のモチベーションを上げつつ、業績向上を図る取り組みを行いましょう。
事務所通信 2018年5月号より